牛への肥育ホルモンの使用が認められている国、認められていない国の解説

牛肉コラム

肥育ホルモンは、牛の成長を促進するために使用される薬物の一つです。
しかしながら、肥育ホルモン剤の使用には健康上のリスクがあるとしている団体もあり、使用に賛否が分かれています。
そのため、国によっては牛への肥育ホルモン剤の投与が禁止されている場合もあります。
そこで今回は、肥育ホルモンの使用が認められている国と、認められていない国について詳しく解説していきます。

肥育ホルモン剤の投与が認められている国

下記が代表的な肥育ホルモン剤の投与が認められている国です。

アメリカ合衆国

アメリカでは、肥育ホルモンの使用は非常に一般的です。
食品医薬品局(FDA)は、ホルモンを使用した牛肉の消費が人間の健康に対して安全であると評価しています。
具体的には、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、ゾエラノン、トレボロンアセテートなどのホルモンが使用許可されています。
これらのホルモンは、牛の成長を促進し、食肉の生産を効率的に行うために使用されます。
その結果、消費者に安価で質の良い肉が提供されることが期待されます。

カナダ

カナダもアメリカと同様、肥育ホルモンの使用が許可されています。
カナダの食品検査庁(CFIA)のガイドラインに従い、使用が許可されているホルモンは限られており、その使用には厳格な基準が設けられています。
また、カナダ産の肉が他国に輸出される際には、相手国の基準に合致していることが求められるため、ホルモンの使用量や種類にも注意が払われています。

オーストラリア

オーストラリアでは、肥育ホルモンとしてGH(成長ホルモン)の使用が認められています。
しかし、オーストラリアの農業規制当局は、ホルモンの使用に関して厳しいガイドラインを設けており、安全性が確保されていることが前提とされています。
そのため、オーストラリア産の牛肉は国際的にも高い評価を受けています。

メキシコ

メキシコにおいても、アメリカやカナダと同様に、肥育ホルモンの使用が認められています。
しかし、その使用には一定の基準や制限が設けられており、適切な使用が求められています。
メキシコ産の牛肉は、特にアメリカへの輸出が盛んであるため、ホルモンの使用に関する基準は非常に重要となっています。

肥育ホルモン剤が認められない国

肥育ホルモン剤の投与が認められいない主な国は下記の通り。

欧州連合(EU)

1988年以降、EUは牛の成長ホルモンの使用を禁止しています。
人々の健康への潜在的なリスクを理由として実施されました。
また、EU加盟国は、ホルモンを使用して生産された肉の輸入も禁止しています。

日本

日本は、肥育目的でのホルモンの使用を禁止しています。
しかし、病気の治療や繁殖管理のためのホルモン使用は、特定の条件下で許可されています。
一方でEUとは異なり、肥育ホルモン剤が投与された牛肉の輸入は禁止されていません。
つまり、国産牛に肥育ホルモン剤が投与されている可能性はない一方で、輸入牛肉は肥育ホルモン剤が投与されている可能性は高いということです。

EUが肥育ホルモン剤の投与している牛肉を禁止している理由

EUは、肥育ホルモン剤の安全性データが不十分とし、その使用や関連食肉の輸入を禁止しています。しかし、この措置は国際的に科学的根拠が不足しているとの意見があります。
1989年以降、EUの多くの国で乳がん死亡率が減少していますが、これは肥育ホルモン剤禁止とは関連がないとされ、検診の増加や新治療法の導入などが要因と考えられています。

ですので、肥育ホルモン剤が投与された牛肉が必ずしも危険という訳ではありません。
しかしながら、国産牛への投与を禁止していることからも分かるように、100%安全だと断言できる訳でもありません

肥育ホルモン剤が投与された牛肉を少しでも不安に思うなら、国産牛を選択することをおすすめします。

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