牛肉でよく聞くBMSって何?A5やA4とどう違うの?
牛肉好きの方の中にはBMSという言葉を聞いたことがある方が多いと思います。
しかしながら、このBMSについて詳しい理解を持っている方は少ないかと思います。
今回は
- BMSって何?
- A4やA5とは何が違うの?
- BMSが高いほうが美味しい牛肉なの?
という疑問について解説していきます。
BMSは油の質のこと
BMSとは牛肉脂肪交雑基準と呼ばれています。
簡単に言うと「牛肉の中に油がどれだけよく入っているか」ということです。
牛肉の中に油が入っていればいるほど、ランクが高くなります。
そのため、BMSは味の算定基準ではありませんので、注意してください。
BMSは1~12まであります。
具体的には下記が算定基準になります。
(参照:牛枝肉取引規格 日本食肉格付協会HPより)
目安が下記の通りです。
BMS | 牛肉の種類 | 概要 |
---|---|---|
1 | ホルスタインの経産牛・若い牛 | ほとんど脂身がない。 ハンバーグなどに使われる |
2 | ホルスタインの牛肉・質の悪い交雑牛 | 最も流通量が多いランクの一つ。 ホルスタインの肉が多く、赤みのステーキなどにも使われる。 脂2:赤み8くらい |
3 | 質の良いホルスタインの牛肉・交雑牛・和牛の経産牛 | やや脂身がある牛肉。 脂3:赤身7くらい |
4 | 交雑牛・質の悪い和牛 | 程よく脂身が入っている。 交雑種に多い 中級のレストランやスーパーで販売されている 脂4:赤身6 |
5 | 質の良い交雑牛・和牛 | 高級牛肉と呼ばれるランクに入る。 程よい脂身がありながら、適度に脂身も入る。 高級レストランなどで販売 脂5:赤身5くらいのイメージ |
6 | 質の良い交雑牛・和牛 | 上記と同様 |
7 | 質の良い交雑牛・質の良い和牛 | このランクになるとほぼ交雑牛がいない。 脂身6:赤み4 |
8 | 最高級の和牛 | 最高級の和牛。 まれに交雑牛が出るが、このランクはほぼ和牛。 「A5」と呼ばれるランクはここから始まる。 融点が低く・口の中でとろけるような牛肉 |
9 | 最高級の和牛 | 上記と同様 |
10 | 最高級の和牛 | A5の中でもトップクラスの牛肉。 このランクになると市場でも高値で取引される 脂7:赤身3 |
11 | 最高級の和牛 | 上記と同様 |
12 | 最高級の和牛 | 最も脂身が入っているランク。 最高値で取引されている。 脂8:赤身2くらい 輸出用などでも利用されている |
BMSはA4,A5とは何が違う?
BMSはA4,A5をもっと細かくしたものです。
具体的には
- A1・・BMS1
- A2・・BMS2
- A3・・BMS3~4
- A4・・BMS5~7
- A5・・BMS8~12
となっています。
つまり同じA5でもBMS8の牛肉とBMS12の牛肉では脂身が異なるという事です。
BMSが高いほうが美味しいの?
結論から申し上げますとBMSが高いほうが美味しいとは限りません。
理由は下記の2つです。
- BMSが高い牛は油の入り具合が良いだけで味の算定基準にはならない
- 違う生産者によって肉の味が異なる
BMSは油の入り具合を表しているだけで味の算定基準にはなりません。
最高級のBMS12の牛肉を食べたとしても
- この前食べたBMS12の牛肉と味が違う
- この牛肉はBMS12の割に美味しくない
と感じることもあるかと思います。
これは牛肉によって生産者が異なるためです。
牛肉の味は
- 牛を飼っている期間
- 与えている餌
- 血統
などによって変わってきます。
同じA5の牛肉でも味が異なるため、一概に判断基準にはなりません。
枝肉市場でもA5の牛肉がA4の牛肉に値段で負けることは往々にしてあります。
これはA4の牛肉を生産している人の農家の評価が高いためです。
A5の牛肉よりも美味しいA4の牛肉を生産しているということになります。
同じ高品質の牛肉を食べたいならブランド牛がおすすめ
高品質の牛肉を食べたいならブランド牛をおすすめします。
ブランド牛は
- 生産地域が限定されている
- 使用する餌が限定されている
- 飼養する牛が限定されている
など厳しい基準を満たした牛肉のみを提供しています。
特に日本を代表する神戸牛は厳しい基準を満たした牛肉でなければ売り出すことができません。
参考までに神戸牛の基準を見てみましょう。
【第20条】「兵庫県産(但馬牛 )」とは、本県の県有種雄牛のみを歴代に亘り交配した但馬牛を素牛とし、繁殖から肉牛として出荷するまで当協議会の登録会員(生産者)が本県内で飼養管理し、本県内の食肉センターに出荷した生後28ヵ月令以上から60ヵ月令以下の雌牛・去勢牛で、歩留・肉質等級が「A」「B」2等級以上とし、瑕疵等枝肉の状態によっては委嘱会員(荷受会社等)の確認により判定を行う。 尚、兵庫県産(但馬牛)を但馬牛、但馬ビーフ、TAJIMA BEEFと呼ぶことができる。
【第21条】「神戸肉・神戸ビーフ」とは、第20条で定義する「兵庫県産(但馬牛)」のうち、未経産牛・去勢牛であり、枝肉格付等が次の事項に該当するものとする。 尚、神戸肉・神戸ビーフをKOBE BEEF、神戸牛、神戸牛と呼ぶことができる。
〈1〉歩留・肉質等級・「A」「B」4等級以上を対象にする。
〈2〉脂肪交雑・脂肪交雑のBMS値No.6以上とする。
〈3〉枝肉重量・雌は、270kg以上から499.9kg以下とする。去勢は、300kg以上から499.9kg以下とする。
〈4〉その他・枝肉に瑕疵の表示がある場合は、本会が委嘱した畜産荷受会社等(委嘱会員)がこれを確認し、「神戸肉・神戸ビーフ」の判定をする。
(参照元:神戸ビーフとは 神戸肉流通推進協議会)
長いですね(笑)
まとめますと
- 良い血統の牛を飼養する
- 限定された生産者が生産する
- BMS6以上
が神戸牛の定義です。
つまり生産者・牛の血統・脂身による味のブレが少なく、厳格な管理がされているため、高い評価を得ているということです。
日本の三大和牛と評される神戸牛はまさに和牛の王様といっても過言ではない牛肉と言えるでしょう。
ブランド牛というのは数多くありますが、案外名前だけつけて定義はまるでないというケースも多いです。
ブランド名がついているから美味しいだろう。と思われる方もいらっしゃいますが、間違いですので、気を付けましょう!
まとめ
今回は牛肉のBMSについて詳しく紹介してきました。
ポイントは
- BMSとは脂身のランクのこと
- A4,A5を細かくしたものがBMS
- 同じA5でも味が異なるのは生産者が異なるため
- 同じ味を楽しみたいならブランド牛がおすすめ
という点です。
ぜひBMSについて正しく理解して、美味しい牛肉を楽しんでみてください。
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