牛肉の選び方

黒毛和牛とホルスタインの違いを徹底比較|味・価格・栄養・見分け方まで解説

牛肉太郎

黒毛和牛とホルスタインは、品種・用途・肉質・価格すべてにおいて大きく異なる牛ですが、消費者がスーパーや飲食店で見かけるときには、その違いが明確に意識されないことも少なくありません。

しかし、味・食感・霜降りの入り方・栄養価・価格差の背景を正しく理解すれば、自分の好みや予算に合わせて「失敗しない牛肉選び」が可能になります。

本記事では、黒毛和牛とホルスタインの特徴を徹底比較します。

さらに、用途別おすすめ料理や見分け方まで、実用的な情報を網羅していきます。

この記事でわかること

  • ✅ 黒毛和牛とホルスタインの品種・用途の違い
  • ✅ 味・食感・霜降りの入り方の違い
  • ✅ 価格差が生まれる理由(飼育期間・コスト・ブランド価値)
  • ✅ 栄養価の比較(日本食品標準成分表2023に基づくデータ)
  • ✅ それぞれに合ったおすすめ料理と選び方のポイント
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この記事の監修者:うしまる

北海道の元農協職員。15年以上、肉用牛農家の経営支援
ファイナンス設計・新規事業立ち上げを経験。
現在は「牛肉会」の編集長として、科学的かつ実務に基づいた牛肉情報を発信中。

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黒毛和種とホルスタインの違い

黒毛和種とホルスタインの違いは大きく分けて下記の通り。

項目 黒毛和牛 ホルスタイン
品種の目的 肉専用種(和牛4品種のひとつ) 乳用種(主に牛乳生産)
原産地 日本(在来牛と外国種の交配を経て固定) オランダ・ドイツ原産(世界中に普及)
肉質の特徴 きめ細かい霜降り、柔らかい肉質 赤身が多く、しっかりした食感
飼育期間 約28〜32か月 肥育牛:約20か月
経産牛:搾乳後に出荷
市場価格(枝肉) 平均2,000〜3,000円/kg 平均800〜1,200円/kg
概要 日本固有の和牛4品種の一つ。
A5ランクで知られる高級肉。霜降りの美しさが特徴。
乳用種として世界的に飼育。
日本では乳牛として有名だが、肉牛としても一部活用。

 

部位ごとの価格の違い

牛肉は同じ品種でも部位によって味や食感、そして価格が大きく変わります。代表的な3部位の特徴と価格目安を理解しておくと、用途や予算に合わせた選び方ができます。

  • サーロイン:
    背中から腰にかけての部位で、霜降りが入りやすく非常に柔らかい。黒毛和牛では脂の甘みが強く、ステーキやローストビーフに最適(黒毛和牛:約1,800〜3,000円/100gホルスタイン:約600〜1,200円/100g)。
  • バラ:
    肋骨周辺の部位で、脂肪と赤身が層になっている。黒毛和牛は脂のジューシーさが際立ち、焼肉やカルビとして人気(黒毛和牛:約800〜1,500円/100gホルスタイン:約300〜700円/100g)。ホルスタインでは脂が軽めで、煮込み料理やカレーにも適している。
  • ロース:
    肩から背中にかけて広がる部位で、柔らかさと肉の旨味のバランスが良い。黒毛和牛はしゃぶしゃぶやすき焼きにぴったり(黒毛和牛:約1,200〜2,200円/100gホルスタイン:約500〜900円/100g)。ホルスタインでは赤身のコクを活かし、ソテーやグリルにも向く。

 

価格差の理由

  • 飼育期間の違い
    黒毛和牛は平均28〜32か月かけてじっくり肥育されるのに対し、ホルスタインの肉用肥育は平均約20か月と短め。この期間差がコスト差に直結する。
  • 飼育コストの違い
    黒毛和牛は高エネルギー飼料や良質な牧草を使用し、温度・湿度・ストレス管理など高度な飼育環境が必要。ホルスタインは乳用主体のため、肉用肥育時の飼養管理は比較的シンプル。
  • ブランド価値の影響
    松阪牛や神戸牛といったブランド和牛は、厳しい格付けと産地証明が付加価値となり、市場価格を押し上げる要因になっている。一方、ホルスタインはブランド価値よりも安定供給と価格競争力が強み。

 

肉質と味の違い

霜降りの入り方

  • 黒毛和牛:遺伝的に脂肪交雑(BMS値)が高く、きめ細かい霜降りが入りやすい。加熱時に脂が低温で溶けるため、舌触りがなめらかで甘みを感じやすい。

  • ホルスタイン:赤身比率が高く、脂肪は少なめ。見た目は均一な赤身色で、脂の入り方は控えめ。

食感・旨味の違い

  • 黒毛和牛:繊維が細かく、とろけるような柔らかさが特長。脂の甘みと香りが口の中に広がり、余韻が長く続く。

  • ホルスタイン:筋繊維がしっかりしており、噛み応えがある。赤身の持つコクと鉄分由来の風味が活きる。

 

栄養価の違い

黒毛和種とホルスタインの栄養価の違いについて紹介していきます。

栄養比較|肩ロース 可食部100gあたり(和牛=黒毛和牛、乳用肥育牛=ホルスタイン)
指標 和牛(肩ロース・皮下脂肪なし・生) 乳用肥育牛(肩ロース・皮下脂肪なし・生) ポイント
エネルギー(kcal) 373 285 和牛は脂質が多く高カロリー
たんぱく質(g) 14.0 16.5 乳用種は赤身が多くたんぱく質高め
脂質(g) 36.5 25.2 脂質差がカロリー差に直結
鉄(mg) 0.7 0.9 赤身比率の高い乳用種でやや多い

出典:日本食品標準成分表2023(八訂)
※数値は同条件(肩ロース・皮下脂肪なし・生)での比較です。部位や脂身の量により変動します。

 全体的に和牛は高カロリーでホルスタインは低カロリー高たんぱく質となります。

そのため、健康を意識するならホルスタイン、たまにのごちそうには和牛といった形で食べ分けることをおすすめします。

 

黒毛和牛とホルスタインを見分ける方法

黒毛和牛とホルスタインは見た目だけで判断するのは難しく、特に精肉パックや外食メニューでは混同されやすい傾向があります。
正しく見分けるためには、表示ラベル・産地証明・価格帯に注目するのがポイントです。

① 食品表示ラベルを確認する

  • 「和牛」表記
    「黒毛和牛」や「和牛」と明記されている場合は、和牛4品種(黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種)のいずれか。
    黒毛和牛はこのうち約9割を占め、サシの入りが特徴。

  • 「乳用種」表記
    ホルスタインなど乳牛由来の肉には「乳用種」と表示。赤身中心で脂が少なめ。

  • 「交雑種」表記
    和牛と乳用種を掛け合わせた牛肉。サシと赤身のバランスが特徴で、「F1(エフワン)」と呼ばれることも。

食品表示法では、品種や原産地は必ず表示する必要があります。スーパーのパックや精肉店の札をチェックしましょう。

② 産地証明・ブランド牛の証明書を確認

  • 松阪牛・神戸牛・米沢牛などのブランド和牛には、産地証明書や個体識別番号が付与されます。

  • 個体識別番号は、農林水産省の**「牛の個体識別情報検索サービス」**で検索可能。品種・生年月日・産地まで確認できます。

③ 見た目の傾向

  • 黒毛和牛:サシが細かく網目状に広がる。肉色はやや淡く、脂は乳白色。

  • ホルスタイン:赤身が多く、脂肪は少なめ。肉色はやや濃い赤。

④ 価格帯で判断

  • 黒毛和牛のサーロインは、店頭価格で100gあたり1,800円以上が目安。

  • ホルスタインのサーロインは100gあたり600〜1,200円程度と比較的安価。

 

まとめ|黒毛和牛とホルスタインの違いを理解して、自分に合った牛肉を選ぶ

  • ✔ 品種・用途の違い: 黒毛和牛は肉専用種で、きめ細かい霜降りと柔らかい肉質が特徴。ホルスタインは乳用種が主体で、赤身が多くしっかりした食感。
  • ✔ 肉質・味の傾向: 黒毛和牛は脂肪交雑(BMS値)が高く、とろける柔らかさと脂の甘みが魅力。ホルスタインは赤身の旨味と噛み応えが特徴。
  • ✔ 価格差の理由: 黒毛和牛は平均28〜32か月肥育され、高栄養飼料やブランド価値により高価格(サーロインで1,800〜3,000円/100g)。ホルスタインは約20か月肥育で低コスト(サーロインで600〜1,200円/100g)。
  • ✔ 栄養価の違い: 肩ロース100gあたりで比較すると、黒毛和牛はエネルギー373kcal・脂質36.5gと高カロリー、ホルスタインは285kcal・脂質25.2gで低脂質高たんぱく。用途や健康志向に合わせて選べる。
  • ✔ 見分け方: 食品表示ラベルの「和牛」「乳用種」「交雑種」表記や産地証明書、個体識別番号、見た目や価格帯を総合的に確認するのがポイント。

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